リジン

アミノ酸総論

リジンは人間の体を構成するたんぱく質合成アミノ酸の中でも非常に重要な役割を持つアミノ酸の1つである。リジンは通常筋肉組織細胞に集中しており、小腸からのカルシウム吸収、骨形成、コラーゲンの合成、細胞の増殖および再生修復、ホルモンの合成、酵素の生産、抗体の生産に深く関わるアミノ酸である。

リジンは、肝臓においてトランスアミナーゼ酵素によって代謝させられが、その代謝にはビタミン B6 、 B3 、 B2 、C 、及び、鉄、グルタミン酸が必要となる。したがって、これらのビタミン・ミネラル、アミノ酸が不足している場合には、リジンの機能は低下する。

リジンの1日あたりの必要量は750−1,000mgとされており、この量は通常の食事内容で充足されると考えるが、慢性栄養吸収障害、LGSなどの症状を持つ場合、高齢者においてはサプリメントなどで補うことを考慮する必要がある。リジンが著しく不足した場合、成長障害、免疫不全を来たすことがあり、軽度の不足の場合でも、カルシウムの尿中排泄量が増加することがあるので留意する。リジンは動物性たんぱく質 に多く含まれるためベジタリアンでは不足傾向になる。

リジンが含まれる素材には牛肉、ビール酵母、チーズ、鶏肉、魚類、豚肉、小麦胚芽、ヨーグルトなど。

@ 臨床応用

 小児期における細胞成長、特に骨形成の促進

 抗体生産

 脱毛

 不妊症

 結膜炎

 ホルモン合成

 細胞再生、修復

 コラーゲンの合成

 単純ヘルペス、EBウィルスの増殖抑制

A 摂取量

リジンは、単純ヘルペスウィルス(1型)の増殖を抑制する作用を持つことがわかり、単純ヘルペス症状の改善に効果があり、症状を呈する患者に対する効果は80%を越える。米国の栄養療法ならびにアミノ酸療法医師は単純ヘルペス症状の改善のファーストチョイスとしてリジンを常備する。ただし、2型のヘルペスウィルスに対する効果は低い。

 一般的な処方量

単純ヘルペスウィルス(1型)の症状が既に現れている場合には、1日あたり1,000−2,000mgのL-リジンを朝昼食1時間後と就寝前の3回に分けて摂取させる。ビタミンCはリジンの代謝を促進する作用があるため、同時に500−1,000mg/日のビタミンCを併称摂取させる。

 

 注意点

単純ヘルペスの症状改善に際してリジンは同じアミノ酸のアルギニンと拮抗する。アルギニンにはヘルペスウィルスのDNA複製を促進する作用があるため、リジン投与に際してはアルギニンの食材からの摂取に注意することが必要である。単純ヘルペスの症状改善に際するリジン:アルギニンの比率は、4:1以上であることが望ましい。因みに動物性たんぱく質におけるリジン:アルギニンの比率は概ね4:1、多くの野菜の場合には1:1である。

リジンに関する最近の研究に興味深い報告がある。アミノ酸療法ではアンチエイジングの目的で成長ホルモンの生産を促すためにアルギニンおよびオルニチンの併用が一般的に行われてきたが、成長ホルモン生産分泌の促進、減量、筋肉増強、および免疫機能活性のためには、アルギニンおよびオルニチンの併用に比べリジンおよびアルギニンの併用効果が高いことが報告されている。この場合の摂取量は、リジンおよびアルギニンをそれぞれ500−1,000mgを就寝前に摂取する。

肝臓および腎臓機能が低下している場合には1日あたり500mgを越えるリジンは毒性を示すことが報告されている。

 

参考文献

1.     Griffith, R., Delong, D., and Kagan, C., Dermatologica No.156, pp257-267, 1978.

2.     Yacenda, J., The Herpes Diet, pamphlet, Felmore Ltd., Tunbridge Wells.

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4.     Am.J. Clin Ntr. 37:Jan 1983, pp93-8.

5.     Psychodietetics, Bantam Books, pp22, 1977.

6.     Comprehensive Answers to Nutrition, New Horizons, Chicago, p10, 1979.

7.     Bland,J., (editor), Medical Applications of Clinical Nutrition, Keats, 1983.

8.     Nutrition Almanac, McGraw Hill, pp236, 1979.


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