Leaky Gut Syndrome(LGS) 腸管壁浸漏症候群

リーキーガット

 

 

Leaky Gut Syndrome(LGS)とは、病気の症状を表すいわばニックネームのようなもので、LGSそれ自体は病気ではなく本来は、「腸から栄養素や食物分子などが体の内に漏れて侵入してしまう」(英語ではIncreased intestinal Permeabilityと言う)状態を通称としてこのように呼んでいる。LGSは、多様な疾患の引きがねにもなるが、その原因もまた様々な背景がある。

 

○ LGSによって引き起こされる病気や症状

 

ニキビ老化免疫不全症候群・アルコール中毒・アレルギー関節炎ぜんそく自閉症小児多動症クローン病嚢包性繊維症湿疹食物性アレルギーアトピー性皮膚炎蕁麻疹・ 炎症性大腸炎・腸内感染・過敏性大腸炎・栄養吸収障害・化学薬品過敏症・膵臓機能障害・乾癬リウマチ統合失調症潰瘍性大腸炎・腹痛・恐怖感・夜尿症・慢性的な吐気・慢性的筋肉痛・錯乱・便秘・下痢・慢性疲労・原因不明の熱発・消化不良・免疫力低下・膣感染症・皮膚の荒れ・重金属中毒症・不眠症骨粗鬆症・ドライアイ

 

 

○ 消化と吸収

人の消化吸収は、胃や腸だけで行われると考えられがちであるが、消化と吸収は人の体内を貫いていて、口から肛門まで続く1本の管の中で行われる。食べ物が口の中に入り、それを噛む(咀嚼)ことから消化と吸収の工程がはじまり、食べ物は口の中で細かく噛み砕かれると同時にだ液の中に含まれる消化酵素(プチアリン)が絡み合い、食道を通過して胃に送られた食物はここで胃酸と消化酵素の洗礼を受け、次 の腸で吸収し易いよう更に細かく分解される。

・腸の基本的役割

腸は、幾重にも曲がりくねった組織で、食べたものから栄養素を消化吸収する以外にも様々な働きがある。

@胃で小さく分解された食物粒子から栄養素を吸収し、エネルギーに変える

Aビタミンおよびミネラルなどの栄養素を吸収し、タンパク質と結合させて腸管から血液中に運ばせる

B体内の化学物質の解毒を行う

C体の外から侵入してきた細菌やウィルスから体を防御する最初の防 衛

 

・腸の粘膜

腸の壁の絨毛には薄い膜がはられており、細菌やウィルスの侵入を防ぐのと同時に、胃で細かく分解された食物の中の栄養素を吸収できるわけである。この粘膜が破れると、細菌やウィルスが体内に侵入して重い感染症や様々なトラブルがおきるだけでなく、胃で十分に消化分解されなかった大きな食物の分子が血液の中を流れる。

 

・小腸の役目

小腸では、胃で胃酸によって細かく分解された食物の栄養素が吸収される。小腸にも膜があって、バリアの役目を担っており、分子が小さい物質(500ダルトン(炭素原子1個の大きさが12ダルトン)までは通すことができるが、これよりも大きな分子は通さないような構造になっている。胃酸によって細かく正常に分解された食物の栄養素は、膜バリアを通り、腸壁のすぐ後ろにある血管へ流れこみ、必要な場所へ運ばれる。これが小腸による栄養素の吸収のメカニズムである。

膜バリアが破けると、エネルギーとなる栄養素が送れなくなるだけでなく、細菌やウィルス、化学薬品などが体内に侵入する。

 

この膜バリアはそれほど丈夫な膜ではないので、細菌やウィルス、化学薬品、アルコール、抗生物質など、また胃で十分に分解されない食物が慢性的に接触することによって、また精神的なストレスによっても簡単に破ける。

小腸の表面には何百もの絨毛があり、さらにその絨毛は数百万の微小絨毛からできてい る。この微細絨毛は、細胞を守るために粘膜と細菌が回りを覆っており、消化酵素を作る役割のほか、正常な大きさの栄養素を吸収し未消化で大きな分子の食物をブロックする機能を持つ。

 

このような状態をLGSと言いう。

 

 

 Leaky Gut Syndrome(LGS) 腸管壁浸漏症候群は、まだ馴染みのない症状ではあるものの、着実に現代日本人に増えている問題で ある。LGSを診断するために検査を行うことはまだ稀である。

LGSは、腸管壁における過度の浸透状態を表し、言葉を変えれば、腸管膜に大きな穴が開いて、バクテリア、毒素、及び、食物が漏れ出す症状である。

医学的な言葉で定義すると、腸粘膜からの高分子化学化合物質、食物アレルゲン、また、萎縮性粘膜に関連する毒素の物質透過性が増加する症状となる。

化学物質への感受性増大、線維性筋肉痛、および食物アレルギーの増加は、このLGSによって引き起こされる場合が少なくない。

 

体内では、大きな分子の食物やバクテリアは異物として認識され、免疫応答システムによって、その異物に対する抗体が造られることになり、これが食物性アレルギーのスタートとも考えられる。

 

 

LGSが引き起こす7ステップ

 

1、腸管に炎症が起こると、適切に栄養素、及び、食物が吸収されず、疲労、及び、膨満が発症。

2、LGSによって開いた穴から、大きい食物分子が侵入した場合、異物反応としての抗体が産生され食物アレルギー、および、関節炎、または、線維性筋肉痛のよう新たな症状が発症。

3、腸管に炎症が起こると、栄養素を血液中に運ぶタンパク質も損傷を受け、栄養素欠乏状態が起こる。その結果、マグネシウム欠乏による筋痙攣、または、銅欠乏による血中の高コレステロール状態を引き起こす可能性が高くなる。

4、腸が担う解毒作用に障害が及び、結果として、化学物質や汚染物質が体内に侵入し、これらの物質に対する「過敏症状」が発症する。更にもうひとつの解毒組織である肝臓に負担がかかり過ぎて、十分な解毒が行われなくなる。

5、腸管に炎症が起こると、 lgA ( 免疫グロブリン A ) の保護膜が影響を受け、体内はカンジダ菌などの真菌、バクテリア、ウイルスに対する防御機能が低下する。

6、腸管に炎症が起こると、バクテリア、および、真菌類は、容易に体内に侵入できるようになり、血液中にも容易に侵入し、感染の機会が増えることにもなる。

7、最も悪い症状は、自己抗体の形成である。LGSによって、血中に入ってきた食物や汚染化学物質などの異物に対する抗体が作られ、抗体がそれらの異物に作用すると同時に人の組織に作用を及ぼす。この体内反応が、慢性関節リウマチ、狼瘡、多発性硬化症、甲状腺炎などの自己免疫疾患の大きな原因になっている可能性は高い。

 

 

LGSを引き起こす原因と考えられる内容

 

  1、抗生物質によって胃腸器官系の細菌、寄生虫、カンジダ、真菌類の異常繁殖を促す。

  2、アルコール類、カフェインなどの刺激物

  3、食物と飲料

    ・細菌によって腐敗、汚染された食物や地下水

    ・着色剤、防腐剤、酸化防止剤など、食品添加物として使用されている化学合成物の混入した食物や飲料水

  4、酵素欠乏

  5、牛乳・乳製品の摂取

  6、非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェン、インドメタシン等)

  7、プレドニゾンのような処方コルチコステロイド

  8、精製炭水化物食品(クッキー、ケーキ、清涼飲料、漂白パン

  9、避妊用ホルモン(ピル)

10、精製炭水化物食品に混入しているカビ、菌

11、水銀、鉛など重金属の蓄積

 

以上の原因によってLGSが引き起こされる可能性が増大する。

 

LGSは腸だけの問題ではない

ひとたびLGSに陥ると、腸の機能障害による吸収が阻害されるだけでなく、血中を流れる毒素や細菌を解毒するために肝臓の解毒能力の負担が増大する。 これによって、混乱、記憶損失、または、顔の膨張のような徴候が現れる。

 

LGSによるミネラル吸収障害

腸から血液までミネラルを輸送するのに必要とされる胃腸器官系に存在する様々な輸送蛋白質がLGSによる炎症によって損傷するため、ミネラル吸収障害が引き起こされ、結果としてミネラル不足に陥ることになる。

例えば、LGSによるマグネシウム不足 ( 赤血球マグネシウム不足 ) によって、食品、やサプリメントで十分なマグネシウムを摂取しているにもかかわらず、結果として、筋肉痙攣のような症状が発生する。

マグネシウムを、血液から細胞へ運ぶ輸送蛋白質が損傷した場合、マグネシウム欠乏症という最悪の結果になる。

同様に、亜鉛の吸収障害による亜鉛不足は、毛髪損失やハゲを引き起こす。

銅不足は、高コレステロール、及び、骨関節炎を招く。

カルシウム、ホウ素、ケイ素、及び、マンガンの吸収障害は、骨形成にとって重大な問題を引き起こす。

 

 

LGSの判定検査

マンニトールとラクツロースと言う水溶性糖分を使い尿検査によってLGSを判定する方法がある。

この2つの糖分は人間の体には必要のない物質で、腸が正常に働いている状態であれば代謝することはない。マンニトールは腹部の放射線検査に、またラクツロースは慢性的な便秘の改善薬として用いられており、体には安全な糖分である。これら2つの糖分は大きさも重さも異なるために、血液中への吸収時間も異なる。この検査では、水で薄めたマンニトールとラクツロースを飲み、6時間の尿を蓄尿し、その尿の中に排泄された2つの糖分の量を測定することによって、LGSの判定をする。

@ 正常な消化吸収状態である場合

尿中のマンニトールの量は多く、ラクツロースの量は少ない 

A LGSが疑われる場合

尿中のマンニトールおよびラクツロースの量は多い

 B 慢性的な栄養吸収傷害が疑われる場合

尿中のマンニトールおよびラクツロースの量は少ない

C 過敏性大腸炎、クローン病などが疑われる場合

  尿中のマンニトールの量は少なく、ラクツロースの量は多い

 

LGSの判定ヒアリング

上記の尿検査ほどの確度はないものの、LGSの可能性を探るためには有用なヒアリングであると考える。

 

以下のLGS自己判定テストは診断を目的とするためのものではなくLGSを確認するための補助テストで ある。

以下の設問に対して現在あなたが感じている状態を数値で表現し設問の回答が終了したら、その数値の合計を算出して下記の綜合判定で確認する。

 

0:全くない

1:まれにある

2:ときどきある

3:いつもある

設問

  1、便秘または下痢                   0・1・2・3

  2、腹の痛み、ガスで張れてるような感じ         0・1・2・3

  3、便に血が混じる                   0・1・2・3

  4、関節痛、関節の腫れ                 0・1・2・3

  5、いつも疲れを感じる                 0・1・2・3

  6、食物性アレルギー                  0・1・2・3

  7、鼻 づまり                      0・1・2・3

  8、炎症をおこす                    0・1・2・3

  9、湿疹、蕁麻疹                    0・1・2・3

10、喘息、気管支炎、花粉症               0・1・2・3

11、物忘れ                       0・1・2・3

12、抗炎症剤(アスピリンなど)を飲む          0・1・2・3

13、抗生物質を飲む                   0・1・2・3

14、アルコール類を飲むと気分が悪くなる         0・1・2・3

15、潰瘍性大腸炎と診断された              0・1・2・3

 

スコア

1−  5:現状ではLGSの可能性は少ない

6−10:LGSの可能性は小

7−19:LGSの可能性が中

20以上:LGSの可能性が高い

 

Copyright Akio Sato,CCN  2006 All rights reserved.

 

LGS改善のための栄養素及び機能性成分

 グルタミン

 FOS(フルクトオリゴ)

 グルコサミン(N-acetyl D-glucosamine

 α-リポ酸

 ケルセチン

 γ-オリザノール

 ビタミンE

 亜鉛

 乳酸菌Lactobacillus Acidophilus

 乳酸菌Lactobacillus Bifidus

 パイナップル酵素(ブロメライン)

 パパイヤ酵素(パパイン)

 アカニレ

 キャッツクロウ

 ギンコビロバ

 リコリス

 

1、LGSによる腸膜の状態改善目的成分

@  グルタミン

    アミノ酸のグルタミンは腸の膜細胞の修復に必要な成分である。またグルタミンは外部からのウィルス、細菌、未消化食材の侵入に対する防護機能を高める成分。

A  乳酸菌

乳酸菌のLactobacillus AcidophilusおよびLactobacillus Bifidusは乳酸菌の中でも酸耐性が高いスーパーストレインといい、腸内で最も多い菌であると同時に免疫機能に深く関わる菌。LGSによって腸内環境が崩れたときに少なくなってしまう菌でもあり、十分に補うことが重要な乳酸菌である。また、LGSの原因またLGSの悪化の原因にもなるカンジダ菌の増殖を抑えることができる乳酸菌でもある。

B  FOS(フルクトオリゴ)

FOSは乳酸菌のエサとなる成分で、スーパーストレインの繁殖を高める繊維成分である。

C  アカニレ

アカニレはSlipprey Elmと呼ばれるハーブで、LGSによって慢性的に炎症傾向にある腸膜の炎症を抑える作用を持つ。また、アカニレには繊維質が豊富なので、腸膜表面に必要なムチン性粘膜の分泌を促進するため潰瘍などから保護する。

D  キャッツクロウ

キャッツクロウもハーブの1つで腸膜表面に必要なムチン性粘膜の分泌を促進するため潰瘍などから保護する。また、カンジダ菌の増殖も抑える働きを持つ。

E  リコリス

リコリスは漢方で使われる甘草。リコリスには腸膜の再生を促進する働きと腸膜のライフサイクルを延ばす作用がある。また血液の循環を向上させるため、栄養素の吸収代謝が向上する。通常使用されるリコリスには血圧を上昇させるグリチルリチンという成分が含まれているため、リコリスはグリチルリチンを除去したものを使用すること。

F  ギンコビロバ

ギンコビロバには血液循環を促進する働きがあり、腸膜修復に必要となる栄養素の運搬を向上させる。

2、LGSによって低下した免疫力を向上させる成分

@  N-アセチルグルコサミン(NAG

NAGLGSによって低下した腸における免疫機能を高めるための成分。腸の膜細胞は免疫機能と深く関わっているが、その腸の膜細胞表面に必要で膜そのものを形成する成分の1つがレシチンである。レシチンが膜細胞を形成するためには膜の表面にレシチンを受け止めるための糖タンパクが必要で、NAGは最も強力にレシチンを受け止める機能成分である。レシチンには膜細胞を形成するだけでなく、免疫に関るT細胞を刺激して免疫力を向上させる働きもある。

A  亜鉛

免疫機能を向上と同時に膜の損傷修復させるためのミネラル。

 

3、LGSの再発を予防する抗酸化成分

@  ケルセチン

柑橘系果実から抽出されたケルセチンには強力な抗酸化があり、フリーラジカルを抑制する作用が強いだけでなく、腸膜表面にあり免疫機能に関るマスト細胞の活性を高める。また、アレルギーの原因となるヒスタミンを抑える強力な作用をもつ。

A  ビタミンE

抗酸化作用と血液循環の向上だけでなく、膜細胞を形成するリン脂質の代謝を向上させる。

4、注意点

  ビタミンCについては腸膜の修復には欠かせない成分であるが、LGSを持った人の多くがビタミンCに対する耐性が低下しており、下痢、嘔吐感を訴える事が少なくない。ビタミンCを摂取する際には、ビタミンCへの耐性がどの程度かを確認しながら最適な量を確認する必要がある。

  ビタミンCの最適量設定の目安

初めに、500mg(朝夕食後の2回に250mgづつわけて)のビタミンCからスタートし、3日間飲み続けても下痢や腹痛が無い場合には、1,000mg(朝夕食後の2回に500mgづつわけてまで増量し再び3日間継続して飲 む。この要領で3日おきに500mgを増量させる。上限は最大で5,000から6,000mgまで。3日おきに500mgづつ増量して下痢や腹痛がおきた場合にはそのときの量から500mg少なくした量を継続して飲むようにする。

 

ビタミンCは理論的にはリサイクルが可能なビタミンであり、ビタミンCを有効に使うために、必須脂肪酸とともに摂取することをお勧める。最適な必須脂肪酸はタラの油またはフラックスオイル。

 


Copyright 1998 - 2005 by L. Vicky Crouse, ND and James S. Reiley, ND. All rights reserved (ISSN 1527-0661).
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